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早く産まれた赤ちゃんとご両親のために

特別な出産

おめでとうございます!
ついに新しいご家族をお迎えになりましたね。
どの子どもも自分の幸せと未来への希望をもって生まれてきますが、ひょっとしてあなたはご自分のお子さんが思ったより早く生まれてきたことに心を砕いていませんか?
そんなことはありません。確かに早産児には特別なケアが必要ではありますが、彼らにも素晴らしい未来が待っています。

早産は特別珍しいことではありません

日本では、毎年5~10%の赤ちゃんが早産で生まれています。日本の生活習慣の変化や家族体系の変化に伴い、年々増加傾向にあるとも言われています。でも、医学の進歩のおかげで妊娠28週以降に生まれた子や出生体重が1000g以上の赤ちゃんの95%が生存できます。一般的には2歳までに身長や体重がお友達に追いつくことができます。妊娠30週以降に生まれた赤ちゃんが慢性的な身体や発達の問題を抱えることは非常に少ないと言われています。

早産児は特別なケアが必要です

病院では・・・・・

早産児は体が十分発育する前に生まれてきます。そのため生まれてすぐ特別な処置や予定日通りに生まれた子とは違った特別な検査や医学的サポートが必要となるかもしれません。さらに肺が発達して自分で呼吸できるようになるまで、あるいは自分で母乳を飲んだり、自分で体温を保つことができるまで数日~数週間かかることもあるかもしれません。
あなたの赤ちゃんは、専任の医師や看護師のいる新生児ICU(NICU)や新生児回復病棟(GCU)と呼ばれるところに入院が必要になるかもしれません。

自宅では・・・・・

他の子どもと同じように早産児が生き延びるためには、あなたの愛やケアが欠かせませんあなたの赤ちゃんが健やかに育っていくためにご自宅ですべきたくさんの準備が必要でしょう。 赤ちゃん成育ネットワークではあなたのお子さんが元気に強く育つように手助けをご紹介しています。

小児科医を選ぶ

赤ちゃんが入院している病院が自宅から近い場合は入院していた病院の担当医をかかりつけ医とすることも可能かもしれませんが、NICUを有する周産期医療センターは地域に数多く存在するわけではなく、遠方の病院への入院もやむを得ない場合も考えられます。その場合、退院後近くで赤ちゃんの事をみてもらうかかりつけ医をさがす必要でしょう。入院していた病院の先生や看護師が推薦してくれるかもしれませんので一度聴いてみましょう。あるいは、赤ちゃん成育ネットワークのホームページの会員名簿欄(以前、NICUに勤務してたことのある先生ばかりです)からお近くの先生を探してみるのもひとつの方法です。

ようやく家にかえる時がきた!

やっと赤ちゃんを連れて帰ることができるのですね。担当医は以下のことがOKになったので退院することを許可したのですよ。
また、担当医は赤ちゃんが退院するときに色々な注意点を説明してくれるので、御両親は「退院時に聞くべき事」を確認してください。

退院できるためには

  • 自分で呼吸ができる
  • 自分で体温を保つことができる
  • 退院時に体重が順調に増えていること
  • ほかの医学的な問題も大体解決することができ、退院する時に自宅でのケアの準備ができていること

退院するときに聞くべきこと

  1. 自宅ではどのように赤ちゃんをケアするか?
  2. ああどのような状態になれば担当医に連絡すべきか、また病院に連れて行くべきか?ああ
  3. 赤ちゃんの哺乳ないし食事、十分な睡眠や体重増加をどのように知ることができるか?
  4. どれくらいの頻度で病院に再度受診すべきか?
    定期的に担当医とコンタクトをとることは赤ちゃんの健康を保つのにとても大切なことです。赤ちゃんのことで心配なことがあったら必ず病院スタッフにご相談ください。

無事に帰宅するために

カーシートなしに赤ちゃんを病院から連れて帰るのは危険であるばかりか交通安全上違法になります。早産児は退院する前に一度カーシートに載せてみてリクラインニングシートを半分に倒したときに呼吸に影響するかどうかをチェックするべきです。もし、担当医がまったく平らになった姿勢の方が良いと勧めたらそのようなカーシートをご用意ください。
後部座席は唯一安全な場所です。できれば赤ちゃんの横に座って注意深く見守ってあげてください。帰宅後も赤ちゃんの状態によっては、最初の1~2ヶ月はあまり車で外出しない方が良いかもしれません。担当医と相談してみましょう。

病院から色々な装置を自宅に持って帰る場合

早産児の状態によっては呼吸モニターや他の装置を持って帰る必要があります。例えば、無呼吸が問題であればなおさらです。赤ちゃんによっては酸素ボンベや他の処置を自宅で行うこともあるかもしれません。そのようなときは赤ちゃんが退院する前に御両親に対して事前に病院である程度訓練をしてくれるはずです。場合によってはどのようにして赤ちゃんに心肺蘇生を行うべきかを教えられることもあるかもしれません。その場合には、しっかり習得して赤ちゃんのために役立てましょう。

家庭での準備

早産児はより頻繁に授乳する必要があります。また、自宅の生活に慣れるのにしばらく時間がかかることもあるでしょう。最初の数週間はなるべく大勢の人の手助けを受け入れてください。そうすれば、赤ちゃんに慣れ親しむ時間と余裕を見いだすことができるでしょう。

赤ちゃんと共に安眠を得るために

赤ちゃんは成長したり発達するためにたっぷりと眠ることが必要です。以下の簡単なルールさえ守れば赤ちゃんも御両親もぐっすりお休みになれることでしょう。

寝る姿勢:仰向けに寝る

アメリカ小児科学会では健康な赤ちゃんは仰向けに寝ることを勧めています。うつ伏せに寝ると乳児突然死症候群(SIDS)になる確率が高くなると言われています。赤ちゃんを仰向けに寝かせることで窒息・扁平な顔や不眠になりやすくなることはありません。しかし、肺に問題のある赤ちゃんの場合には、横向きに寝る場合があります。赤ちゃんがうつ伏せや横向きで寝ている場合でも起きている時はある程度仰向けの時間を作ってあげてください。
正しい睡眠の姿勢以外に以下の方法でSIDSになる可能性を減らせます。

  • 赤ちゃんのそばに毛布・枕や柔らかいベッドあるいは大きな動物のぬいぐるみを置かないようにしましょう。
  • 赤ちゃんの部屋が暑すぎたり涼しすぎたりしないように気をつけましょう。
  • ご自宅でたばこを吸わないように。
  • 定期的に赤ちゃんを受診させる。
  • 母乳栄養で育てる。

赤ちゃんの成長や発達

早産児の赤ちゃんにとって、最初の一年は他の予定日通りに生まれた赤ちゃんと同じようにたいへんなチャレンジの年となるでしょう。子どもたちの発達は複雑で、連続して変化していきます。誰一人として同じような速さや経過をたどって育つことはありません。発達は日々異なり、時間とともに赤ちゃんはひとりの人格として育っていきます。

月齢はとても大切です

赤ちゃんは早く生まれたのでその子の成長を修正月齢で考える必要があります。例えば、赤ちゃんが8週間(2ヶ月)早く生まれたら、生後4ヶ月になった時は予定日通りに生まれた赤ちゃん(成熟児)の生後2ヶ月相当になります。ですから、あまり成熟児と比較したり、発達チャートに注目しすぎないようにしましょう。小児科医はそれなりにあなたのお子さんの発達をフォローしていきます。

早期に介入することはとても大切

もし、発達に何らかの問題があった場合、大事なことはそれをいち早く察知して赤ちゃんがちゃんと育つように援助してもらったり、物事に適応できるようにしてあげることが大切です。
早く問題が見つかることもあればそうではない場合もあります。しかし、それを一番早く見つけることができるのは他ならぬ御両親です。なるべくお子さんの発達パターンに慣れ、もし自分の赤ちゃんが耳の聞こえが悪かったり、見えにくかったり、筋力低下または学習の遅れがみられた場合にはなるべく早く小児科医にご相談ください。出生時から生後3歳までに早期介入プログラムを導入すると子どもの学習能力に長期にわたって悪い影響を与える遅れをかなり改善することが可能であると言われています。

赤ちゃんを健康に保つように

赤ちゃんを健康に保つ一番良い方法のひとつは、勧められた健診や予防接種をすべて受けることです。健診を受けることで赤ちゃんの発育が順調であることが確認できますし、小児科医がより早く健康上の問題を見つけて御両親の疑問点に答えることができるようになります。もし、体重増加・呼吸や他に問題がある時は小児科医はより頻繁に赤ちゃんを診察してくれるでしょう。家族だけで悩まず小児科医に相談して子育てしていくことが早産児を育むことになり、育てにくさから生じる虐待となどを予防することも可能になることでしょう。
予防接種をすることで赤ちゃんを小児特有の病気、例えば百日咳やはしかなどから守ってくれます。最近では、乳幼児の髄膜炎の起炎菌となるインフルエンザ菌b(Hib)や肺炎球菌のワクチンも導入されました。抵抗力の弱い早産児だからこそ予防接種による病気の予防が必要であり、これらの病気にかかって死亡したり、長期にわたって健康を害したりすることが防ぐことができるはずです。

いつから予防接種を開始すれば良いのか

予防接種は赤ちゃんの時から開始し、できるだけ受けるべき予防接種は2歳までにすべて済ませましょう。小児科医が適切でないと言わない限り早産児は成熟児と同じ生後月齢で予防接種を受けましょう。小児科医にお願いすれば適切な接種スケジュールを立ててくれるはずです。

よくあるご両親からの質問

どうして私の赤ちゃんだけが早産児なの?私が悪いのでしょうか?
多くの早産児のお母さん方は、妊娠の間に何か間違ったことをしたから自分たちの赤ちゃんが早産で生まれてしまったのではないかと心配しています。
妊娠中に喫煙・アルコールや薬物乱用をすることは確かに早産と関連があります。しかし、どうして早産の原因を知っている人はほとんどいません。だから、あなたの赤ちゃんが早産で生まれてもあなたが悪いわけではありません。でも、もしあなたが今でも喫煙したり、アルコールや薬物を乱用しているのなら今すぐ助けが必要です。これらの習慣は生まれたあとの赤ちゃんにも影響するので、赤ちゃんが健康であるためにはあなた自身もできる限り健康である必要があるのです。
早産児はみんな障害を持つのでしょうか?
早産児の中でも出生体重が1500g以下の極低出生体重児は、15%前後の赤ちゃんに何らかの障害が残ると可能性が言われています。しかし、障害があってもみんな元気に成長していきます。しっかりフォローアップをしてもらって心配なことがあったら、一人で悩まず素直に担当医に相談してみましょう。
発達の目安としては、出生体重1500g以上の早産児は1歳頃までに、出生体重1250~1500gの早産児は2歳頃くらいまでには、身長・体重および発達ともに正期産児に追いつくことが多いです。あせらずその子のペースで発達を見守ってあげましょう。
退院後、人の多いところにつれて出ても大丈夫でしょうか?
基本的には外出は差し支えないでしょう。ただ、首がすわるくらいまで(修正月齢4ヶ月)はベビーカーの乗せても不安定なので長時間の外出は控えた方がいいでしょう。特に、インフルエンザなどの感染症が流行している時期は人混みへの外出は控えましょう。また、ご家族で感染症予防のため手洗い・うがいを励行しましょう。
早産児は風邪などの感染症にかかりやすいのですか?
早産児だからといって過保護になる必要はありませんが、人工呼吸などの治療を受けた赤ちゃんはしばらく気道の抵抗性が弱くなることがあり、風邪にかかると気管支炎や肺炎に移行しやすいかもしれません。風邪かなと思ったら早めにかかりつけ医に受診しましょう。特に、RSウイルスの感染症は重症化することがあり、在胎35週以下の赤ちゃんは予防注射をRSウイルスが流行する期間(9,10月~翌年4月)に受けることができます。担当医と相談して接種対象になっているようであれば積極的に接種して予防しましょう。
予防接種は積極的に受けて方がいいでしょうか?
早産児だからといって正期産児より病気にかかりやすいと言うことはないですが、同じ病気にかかっても重症化するリスクは持っています。できるだけ生後月齢に沿って予防接種は勧めていきましょう。ただし、NICU入院中にかかった病気や投与されていた薬(ステロイド剤や免疫グロブリン製剤など)によってはある一定の期間が経たないと予防接種ができないことがあるので担当医やかかりつけ医と相談して接種プランをたてましょう。

はしもと赤ちゃんキッズクリニック 橋本 和廣