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当院における障害児の地域生活支援と子育て支援

かねはら小児科 金原 洋治

在宅医療支援

  1. 在宅医療(管理指導料請求分:平成23年7月1日現在)
    在宅酸素2名、気管切開4名、自己導尿6名
    経管栄養12名(在宅成分栄養3・寝たきり8)、てんかん34名
  2. 訪問看護事業所との連携(指示書)10名
  3. 訪問リハビリテーション(指示書)3名
  4. じねんじょ(重症心身障害者地域生活支援センター)利用者の健康管理
  5. 日常の健康管理、医療支援、予防接種、健診
  6. 学校での医療的ケア支援:下関総合支援学校指導医、主治医
  7. 各種福祉サービスの情報提供と援助
    特別児童扶養手当、身体障害者手帳、障害者年金、成年後見制度診断書、補装具意見書

発達支援支援室ベースキャンプの活動(かねはら小児科2階)

平成12年

親と子の心の相談室。臨床心理士1名

平成16年

発達支援室ベースキャンプ開設。精神科・リハビリテーション科標榜

スタッフ OT常勤2名、PT常勤1名、臨床心理士非常勤5名
対象 子どもの心の問題(不登校、心身症、神経症など)
発達障害(脳性麻痺、神経筋疾患、知的障害、LD、ADHD
自閉症スペクトラム障害他

発達相談・心理相談診療の概要

まず医師が診察

予約制:初診30~60分。再診15時20分
医師の診察は月、水、金。午前,午後(予約制)

相談終了後情報交換

園・学校との情報交換:電話連絡、OT,PT訪問 教師、保育士との面談:診療終了後。2者面談・3者面談 臨床心理士、PT、OTとのカンファレンス(月1回)

発達支援室の保険請求

  1. 作業療法、理学療法部門
    1単位:6歳未満220点、6~18歳190点、18歳以上150点
    * 3歳未満は包括のため算定不可。急病等でキャンセルが多い。
  2. 心理部門
    通院精神療法(医師の診療が必要)
    初診500点、最診400点。週1回算定可能。
    精神科を標榜する医師は算定可。包括ため3歳未満は算定不可。
    対象:そううつ病、神経症、心因反応、児童思春期精神疾患などで精神療法を行った場合。
    発達検査:複雑280点、簡単80点
    公費負担申請:精神衛生法23条公費負担制度の利用。
    ICD-10掲載疾患の多くは申請可能。対象は、てんかん、広汎性発達障害、特異的発達障害、多動性障害、不安障害、気分障害などで継続して通院治療を行う場合。

発達支援室の実績

作業療法:年間延2000件(常勤2名)
理学療法:平成24年から常勤1名配置
* 1人のPT、OTにつき1日5~6名が限界
心理部門(非常勤5名):年間延1700件

心理部門の年齢別対象疾患の内訳

重症心身障害者地域生活支援センターじねんじょ
(かねはら小児科3、4階、社会福祉法人じねんじょが運営)

運営する事業

  1. 生活介護サービス事業所じねんじょ(利用定員20名)、分場だいち
  2. 重症心身障害児者通園事業A型施設むく(利用定員15名)
  3. 相談支援事業
    • 活動内容
      特別支援学校卒業後の日中活動の場、重症の幼児期の通園
      放課後支援、長期休暇中の支援、日中レスパイト、送迎,入浴など
    • スタッフ(55名)
      看護師、保育士、支援員、栄養士、運転手、非常勤PT、OTなど
    • 利用登録者(105名)
      利用区分6の重症心身障害児者が大部分。
      じねんじょは知的障害、自閉症が若干名。
    • 運営費
      支援費、措置費など1億2000万円

福田こどもクリニック 
アルカディア・キッズ・センター福田 清一

ごあいさつ

新生児センターNICUを退院したあとも様々な医療的ケアが必要な重症児と母親の安らぎの場所としてこのレスパイト施設は企画され、多くの仲間たちのあたたかい応援によって平成16年3月に開設されました。
今までも、これからも私たちの前には多難な道が立ちはだかっています。しかしここに通ってくる子ども達とスタッフのいきいきとした楽しそうな顔や母親達の嬉しい安心した表情をみていますと、それらの心配や不安は全く飛んで行ってしまいます。
心に太陽、唇に歌を!これからもアットホームな雰囲気を大切に利用者や患者の皆さまとともにスタッフ一同歩んでまいります。
どうぞよろしくお願い申しあげます。

更新日:2011年3月 吉日

アルカディア・キッズ・センターの概要

アルカディア・キッズ・センターとは・・・障害者自立支援法に基づき、市町村が行う地域生活支援事業によるサービスです。重症心身障害児をお預かりして日中における活動の場を確保し、介護されている家族のレスパイトケア(休息)を行います。

基本理念

「心に太陽・唇に歌を」をモットーに、母と子がいつでも安心出来る、医療と福祉を実践します。また、小回りの利く対応と顔の見える事業所を目指します。

運営方針

  1. お預かりと保育の中で、子どもひとりひとりの生活のペースを大切にし、季節を感じて、体を使う楽しい遊びと快適な生活を提供します。
  2. 子ども達に必要な医療・看護を提供し、安全・安楽を守ります。
  3. 家族には、頑張らなくてもよい休息の時間を提供したり、悩みや不安を一緒に考え、解決出来るように努めます。
  4. 親の会や他施設との連携、外部からの見学・教育・研修を積極的に受け入れて、医療的ケアの普及と啓蒙に努めます。
  5. スタッフの継続的な教育と研修を実践します。
  6. 対象児

    • 在宅生活を送っている重症心身障害児 医療的ケア(経管栄養・胃瘻・気管内口鼻腔吸引・人工呼吸器・在宅酸素など)の必要な重症児の お預りも可能です。
    • 身体障害者手帳1級と療育手帳A1またはA2所持者
    • 地域生活支援事業(日中一時支援事業)の利用決定通知書の医療型または重心型区分の支給決定を受けた児
    • 中学3年生までの児童が対象です。

    開園日・時間

    月・火・水・木・金・土 【9:00~17:00】
    ※日・祝祭日・第1水曜日は休園です

    ご予約方法

    • 利用を希望する日時の2週間前から予約ができます。
    • 定員は1日あたり10名です。
    • 予約後のキャンセルにつきましては、早めにご連絡をお願いします。

    担当スタッフ

    医師・保健師・看護師・保育士・指導員 ※利用者の医療的ケアに完全対応、お預かり中に具合が悪くなった時は1Fクリニックを受診する事ができます。

    食事

    食事やおやつは各自持参していただきます。 ※食事介助を含めたお預かりを希望される場合は、お子様の食事場面を事前に1~2回拝見させていただきます。

    料金体系及び利用日数について

    【料金体系】

    • お住まいの各市町村が定めた料金体系に基づき、利用者負担金を翌月の初めに支払って頂きます。
    • 時間毎の料金制となるため、正確に利用時間の記録をさせて頂きます。
    • その他、製作などの材料費・オムツ代・チューブ代などの実費をいただきます。

    【利用日数】

    • 日中一時支援事業の支給日数は、各市町村で異なります。
    • 利用日数は利用時間に応じて、以下のようになります。
      ◎4時間未満の場合 ⇒ 0.25日(1/4日)の利用
      ◎4~8時間未満の場合 ⇒ 0.5日(1/2日)の利用
      ◎8時間以上の場合 ⇒ 0.75日(3/4日)の利用

    活動の様子

    シャボン玉大好き!
    河川敷でまったり…
    ピアノにあわせてお歌の時間
    夏にはプール遊びもします!
    節分の鬼退治!~鬼は外~
    ~父の日~先生に似顔絵のプレゼント☆
    ~食事風景~
    ボーリング大会にて

    ご利用までの流れ

    1. アルカディア・キッズ・センターにTEL連絡(見学の予約をしてください)
    2. 見学後、スタッフミーティングにより利用可能か否かの決定をします☆利用可能な場合
    3. 各市町村障害福祉課にサービス利用の申し込み
      (日中一時支援事業の医療型または重心型区分の決定が必要です)
    4. 利用者証(受給者証)交付
    5. 院長との面談・診察/スタッフとの面談、契約
      ○主治医からの紹介状
      ○保険証
      ○医療証
      が必要です
    6. 利用開始

    お問い合わせ先

    医療法人 福田こどもクリニック アルカディア・キッズ・センター
    理事長  福田清一

    〒839-0801久留米市宮ノ陣4丁目2-25
    TEL.0942-46-6010/ FAX.0942-46-6007 (AM9:00~PM5:00)

    アルカディア・キッズ・センター利用者用パンフレットダウンロード(PDF)

おぐちこどもクリニック 小口 弘毅

小児科開業医で行う発達相談外来と子育て支援ルーム

私は、3歳までの子どもの育ちが大切、そして母親のメンタルヘルスは子育てに大きな影響を与えると考え、障害の有無に関わらず母子を一つのユニットと捉え、発達相談外来および子育て支援ルームを開設しています。小児科外来、発達相談外来、そして子育て支援ルームは三位一体のような形で地域の子ども達の発達や子育ての問題に取り組んでいるので紹介します(詳しくは当院のホームページをご覧下さい)。

発達相談外来

赤ちゃん生育ネットワークの会員の開業小児科医は誰もがNICU勤務時代に、地域に送り出したNICU退院児に対する十分なフォローアップ、そして子育て支援が出来なかった反省に立って、自分の診療体制を工夫していると思います。私も同様であり、開業した2000年から、NICU退院児に焦点を絞って発達や子育ての支援をする為に一人の臨床心理士の協力を得て発達相談外来を開設しました。また当院の看護師全員(5人)が私の勤務していた北里大学病院周産期センターのスタッフであった事は大きく、外来診療全体で私の考えを理解し、協力してくれました。発達相談外来で発達の遅れや歪みがあると判断した場合は心理士に療育を依頼しています。当初は発達相談外来への年間初診数は50人程度で、その半分はいわゆるNICU卒業児すなわち未熟児、脳性麻痺あるいはダウン症などの周産期障害や先天性異常の子ども達でした。しかし数年で発達相談外来を受診する子ども達の様相は大きく変化していきました。図1に2004、2008、2010年までの発達相談外来の “のべ受診数”と疾患の内訳を示しています。発達相談外来を受診した子ども達を、NICU卒業児、発達障害児(自閉症スペクトラム、ADHDあるいは学習障害など)および心の問題(学校における問題行動や不登校など)と大まかに3つに分類しました。図1のように当初は受診の半分を占めていたNICU卒業児は、2010年度が終わった時点では全体の1/4と相対的に減少しています。これに対して、発達障害児の相談は6~7割を占める状況です。受診数は増加の一途を辿り、2011年度も終盤の現在、のべ受診数は950人を超えています。このような展開は私の予想を遥かに超えものですが、考えてみるとNICU卒業児のフォローアップおよび生育支援をするという事は発達障害も、そして心の問題にも向き合うのは当然の事だったのです。なぜならNICU卒業児は知的障害を中心に発達障害を合併するリスクが高く、また二次障害として様々な心の問題を併発する可能性があるからです。地域のニーズに応じるうちに、療育スタッフは増え続け、現在では非常勤ですが臨床心理士5人、言語療法士1人、理学療法士1人となっています。また療育スタッフ(私も含めて)のスーパーバイザーとして2009年より月1回、精神科医を招いて児童精神科外来を開設しています。
2010年度の児童発達相談外来への初診数は172人であり、ほぼ2日に一人の割で初診面接を行っています。新生児科医であった私は、一般診療終了後の夕方にほぼ1時間かけて初診児の面接を行っています。児童精神科領域の知識も経験も乏しい私は、日々悩み、そして子どもや母親の心情に共感しながら初診面接を行い、その子達の療育あるいはカウンセリングを心理スタッフにお願いしています。療育は個別と小グループ(4~5人)の2つの形態で行っており、また心理士は子どもの療育だけでなく、母親とも面談して子育ての悩みを聞き、療育的なアドバイスを行っています(図2)。療育に通ってきている子ども達の数は月平均およそ150人です。当院の発達相談の核はやはりNICU卒業児であり、今後もNICUから紹介されてくる未熟児や先天異常児の療育を大切にしたいと考えています。このように発達の遅れや歪みを持って悩んでいる子ども達の地域における受け皿が少ない状況で小児科開業医が果たす役割は大きいのですが、逆に行政にこの子らに対する生育支援体制を整備するように発言しなければならないと考えています。

子育て支援ルーム(バンビーノ)

一般外来を受診する多くの子ども達に接してきて、発達遅滞とは言えないけれどボーダーの子ども達は非常に多く、また定型発達であっても母親達の子育て不安は大きい事に気がつきました。外来での母子の相談や指導も大切ですが、保健診療に縛られない、もっと開かれた子育て支援が出来ないだろうかと私たちは考え、話し合いを始めました。そして得られた結論は、医療と連携した子育て支援ルームを造る事でした。2005年にクリニックスペースとは別に部屋を借り、看護師達が中心になって子育て支援ルーム(Casa di Bambino子どもの家、通称バンビーノ)を開設しました(詳細はバンビーノのHPをご覧下さい)。当初はどんな活動あるいは催しをしたら良いのか暗中模索でしたが、医療の範囲ではないけれどサポートが必要な母子に向き合う中で方向性が次第に定まってきました。活動の基本は障害の有無にかかわらず母子が集まって話をし、遊ぶ場所(母子の居場所)を提供するという、何の変哲もない姿勢です。そして子どもの為のクラス(リトミック、インファントマッサージなど)、お母さんの為のクラス(コラージュ、スクラップブッキングなど)、そして発達障害児の為のクラス(ミュージックセラピー、ダウン症のための赤ちゃん体操など)があり、クリニックから紹介されて参加する母子と、HPや口コミで情報を得て参加する母子がいます。このように様々なクラスを企画運営していますが、バンビーノは地域に開かれたスペースとして、特別な目的がなくても、何時でも遊びにきて、母親同士がおしゃべりしてホットできる母子の居場所です(図3)。バンビーノの利用者数は徐々に増えてお、年間5000人くらいの利用数となっています。クラスの参加費用は500~2,500円で、赤字は出ませんが、講師もスタッフもボランティア的な報酬で活動しています。 まとめ(図4):NICU卒業児の地域における生育支援を目指して始めたクリニックの活動は一般小児科診療のみならず、発達相談外来(療育を含めた)および子育て支援ルームの三位一体として発展し、子どもの専門家がお互いに密接な連携をとりながら乳幼児期早期からの母子一体の支援を行う事が可能となりました。これからの開業小児科には臨床心理士の存在は不可欠であり、またバンビーノのような小さな子育て支援ルームを併設すると地域に開かれた生育支援ができるのではないでしょうか。